エスカレーターには、物の挟まれや、障害物への衝突を防ぐため以下のような規定が告示で定められています。
またこの記事では異常を検知するために必要な制動装置についても解説しています。
1.物の挟まれ、衝突防止 [ 平12建告第1417号第1 ]
保護板の固定方法
2.エスカレーターの制動装置
1.物の挟まれ、衝突防止 [平12建告第1417号第1 ]
物の挟まれ、衝突防止のための1つ目の規定は、踏段側部とスカートガードの隙間は、5mm以下とすることです。
なおスカートガードは鉄骨階段で例えるとささらの部分になります。
2つ目の規定は、踏段と踏段の隙間を5mm以下とすることです。
エスカレーターは、鉄板のように溶接等で一体となった物ではないため、生じてしまう隙間を一定以下にする規定です。
3つ目の規定は、天井や他のエスカレーターとの交差部に保護板を設置することです。
保護板は折曲り階段と同じような形式である交差型のエスカレータ等に設置されます。
交差型のエスカレーターでは、上昇し上階の床が近づくにつれ、もう一方のエスカレーターと交差する部分が生じます。
この交差部分は、上昇につれ徐々に鋭角になるため、手等を出したままにしていると挟まれる危険性があります。
そのため保護板を設け、鋭角部分を無くすことで安全を確保するという規定です。
保護板の固定方法
保護板は、上昇するエスカレーターの下枠等に支持、固定されます。
そこから規定の幅を確保した上で、高さ方向は下階側の手摺上端より20cm以上下方に延ばして設置することが規定されています。
2.エスカレーターの制動装置
エスカレーターの制動装置は、平12建告第1424号に規定されています。
そこではエスカレーターの異常を検知するために必要な装置として次のような装置が規定されています。
1つは、エスカレーターの踏段を繋ぐ階段チェーンが異常に伸びた状態を検知する装置です。
これは機器の状態自体を検知する装置に当たりますが、物の挟まれ等を検知する装置も設置することとされています。
例えば、踏段側面とスカートガードの間に靴等が強く挟まれた状態や、ハンドレールに衣服等が挟まれた状態を検知する装置です。
このような場合の自動停止に加え、スカートガード安全スイッチや、インレットスイッチを設置することが決められています。
エスカレーターは、待ち時間がなく、動線としても利用しやすい場所に設置されるため、利用頻度の高い搬送設備です。
告示では、記載した保護板、スカートガード安全スイッチ等の制動装置の他、定格速度等についても規定されています。
【参考】青本告示編
基本建築関係法令集〔告示編〕 令和3年版