この記事では、ガス瞬間湯沸器と潜熱回収型湯沸器の違いについて、機器の仕組みや熱効率の面から解説しています。
▷ガス瞬間湯沸器
元止め式
先止め式
▷潜熱回収型湯沸器
潜熱回収型湯沸器の仕組み
潜熱回収型湯沸器から発生するドレン排水の処理
ガス瞬間湯沸器
ガス瞬間湯沸器は、お湯の利用場所近くに設置する元止め式と利用場所から離れた外廊下のPSなどに設置する先止め式に分かれます。
元止め式
元止め式は、調理器具などお湯を使用する場所に設置し、フレキシブル状になった出湯管から出るお湯を利用することが特徴です。
以下のように、給湯器下部の給水管から給湯器内へ水を給水し、熱交換器を通過して温められたお湯を供給する仕組みです。
お湯の利用箇所近くに設置する簡易なタイプに属するため、出湯能力は、4号から5号程度となります。
先止め式
先止め式は、器具下部に給湯管を接続することができるもので、共用廊下PSなどに設置し、給湯管を通して、ユニットバスや洗面など、1台でお湯の利用場所各所に給湯することができるものです。
出湯能力は、5号から32号程度のものまで揃います。
1K、1DKなどのマンションの場合、16号程度の湯沸器が利用されます。
ガス消費量としては、約30kw程度です。
なお、ガス消費量が12kW以上の場合、排気筒により排気が行われます。
潜熱回収型湯沸器【エコジョーズ】
加熱に伴い、湯沸器から発生した排熱は、排気筒を介して屋外へ排出されています。
排熱を捨てるため、熱効率の面では不利になります。
例えば集合住宅で用いる16号の湯沸器では、熱効率83%程度の製品が用いられる場合があります。
この排ガスから潜熱も回収し、熱効率を90から95%程度まで高めたのが潜熱回収型湯沸器です。
潜熱には次の2種類がありました。
一つ目は、
氷が水に変化するために必要な熱量である融解熱(吸熱反応)[J/g]
水を氷に変化させるために奪う必要がある熱量。凝固熱(発熱反応)
二つ目は、
水が水蒸気に変化するために必要な熱量である蒸発熱(吸熱反応)[J/g]
水蒸気を水に変化させるために奪う必要がある熱量。凝縮熱(発熱反応)
吸熱反応:水から水蒸気への変化の場合、水にエネルギーを加えることで、水蒸気のもつエネルギーと等しくなる。
つまり、水蒸気からエネルギーを差し引くことで、水のもつエネルギーと等しくなる反応。
発熱反応:水蒸気を水に変化させる場合、水蒸気からエネルギーを奪うことで水のもつエネルギーと等しくなる。
つまり、水にエネルギーを加えることで、水蒸気のもつエネルギーと等しくなる反応。
両者とも上記の区間では、温度の変化はなく、状態の変化にのみ熱が使われます。
潜熱回収型湯沸器の仕組み
潜熱回収型湯沸器には、熱交換器が2つ組み込まれています。
一つは給湯器下部から入る水を従来の熱交換器と同様にバーナーで加熱するもの。
その上部にあるもう一つは、潜熱を利用して水を温めるものです。
潜熱回収型湯沸器から発生するドレン排水の処理
潜熱回収型湯沸器は、排ガスの潜熱を利用するため、エネルギーを奪われた排ガス中の水分は凝縮し、ドレン排水(凝縮水)が生じます。
ドレン排水は、下水道法第2条で汚水として認識されています。
但し取り扱いが不明確な部分もあったことから、自治体での取り決めの明確化などのために、取扱のガイドラインが国土交通省から発出された経緯があります。
ドレン排水の排出量は微量で中和処理も行われていることから、雨水系統での排水が認められるなど、各機器の工事説明書にもその排水方法が記載されています。