建物は、火災が発生した際、排煙設備を稼働させることで煙を排出しています。
排煙方式には、自然排煙、機械排煙の他、押出し排煙という特殊な方法もあります。
自然排煙
自然排煙は、部屋の床面積に対して、1/50以上の排煙上、有効な開口部の面積を確保します。
煙は、上昇するものですので、排煙上有効な窓は、天井から80cm以内の範囲になります。
排煙が必要な一定面積以下の窓が取れない部屋や廊下には、仕上げ材を告示にそい、不燃材料や準不燃材料とすることで対応することもできます。
機械排煙
機械排煙は、窓が取れない地階の店舗や病院、店舗など規模の大きな建物に採用されています。
火災時に排煙機が作動することで、ダクトを通じて煙を外部まで排出します。
外部まで煙を排出する仕組み
外部まで、熱、煙を排出する仕組みとして、ダクトを2つに分けて解説します。
まず一つが竪ダクトです。
竪ダクトは、建物の上下階に渡るもので、区画されたダクトスペース内に計画するものです。
二つ目が排煙分岐ダクトです。
こちらは、各階の天井内に巡らせます。
この各階天井内のダクトをダクトスペース内に通した竪ダクトに繋ぎます。
これによって、火災が発生したフロアの熱、煙を天井内のダクトから、竪ダクトを通じて外部まで排出することができます。
同時に、火災が発生したフロア以外へ煙が伝搬し、避難に支障が生じないようにします。
その対策として、ダクトがダクトスペースを貫通する部分にHFDというダンパーを設置します。
HFDは、熱を感知すると、ダクト経路を閉鎖させ、火災の拡大を防ぐことができます。
煙の伝搬を防ぐという点では、避難上の支障を防ぐ意味合いも大きくなります。
以上が、機械排煙の計画の特徴です。
外部まで煙を排出しつつ、各階への火災の拡大を防ぐことが計画の特徴であることが分かると思います。
今回の記事では、自然排煙と機械排煙についての概要をご紹介しました。
以下の記事では、特殊な排煙設備である押出し排煙について、図を用いながら解説しています。
押出排煙について詳細に知りたい方は、NOTEをご覧ください。
火災の拡大をどのようにして防ぐシステムとなっているのか詳しく紹介しています。