この記事では、2,000㎡程度の共同住宅を一例に、どのように敷地外から電気を引き込み、各住戸へ供給しているか解説しています。
▷高圧電力6,600Vを敷地内から各住戸へ引き込む方法
[ 1 ] 集合住宅用変圧器から引込開閉器盤へ引き込む
[ 2 ] 引込開閉器盤から各住戸、共用部、ポンプへ引き込む
高圧電力6,600Vを敷地内に引き込む方法
高圧電力は、敷地内に設置した集合住宅用変圧器まで供給され、内部で低圧200Vに変換され建物へ供給されます。
集合住宅用変圧器は、避難経路脇などに設置される鋼製の箱の中に納まっています。
また内部には、PDS[ピラージスコン]という開閉器[スイッチ]が設置されています。
ここで電路のオン、オフができる場所となりますので、電力会社と需要家との境界点となります。
[ 1 ] 集合住宅用変圧器から引込開閉器盤へ引き込む
上記集合住宅用変圧器から以下の3つの電線が引込開閉器盤へ送られています。
- 1つ目は、1Φ3W「単層3線式」の電線。
各住戸の照明やエアコン等に利用するものです。
電線には、600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル[CVT]を用います。
- 2つ目も、1Φ3W「単層3線式」の電線。
こちらは、住戸数が多いため、2つのグループに分けて配線することにしました。
共用部の電灯もこちらに含めるとします。
但し負荷名称を共用電灯盤として区別します。
- 3つ目は、3Φ3W「三相3線式」の電線。
エレベーターの巻上機のような駆動装置に電力を供給するものです。
負荷名称を共用動力盤とします。
3つ目の3Φ3Wの電線は、屋内消火栓ポンプのように非常時に駆動する必要がある機器にも電力を供給します。
こちらは、非常電源として、耐熱性能が認証された第一種耐熱分電場盤に開閉器等を設置します。
[ 2 ] 引込開閉器盤から各住戸、共用部、ポンプへ引き込む
更に引込開閉器盤からは、
- 各住戸のメーターボックスへ上階住戸を含む数戸単位で、
- 給水ポンプ、排水ポンプ等への幹線も個別に
配線されます。
住戸のように、1Φ3W回路から繋がる幹線には、Lー1、Lー2と幹線番号が付されます。
屋内消火栓ポンプのように、非常時に必要な3Φ3W回路から繋がる幹線には、PーSと幹線番号が付されます。
こうのようにして引き込まれた幹線は、メーターボックスから各住戸内の分電盤へ引き込まれ、電灯、エアコン等の弱電設備が利用できるようになります。
【参考】
電気設備の標準仕様が記載された書籍です。
上記の内容がより詳細に記載された書籍。