黄色本(技術解説書)

黄色本② 支持杭の許容支持力の求め方

支持杭の支持力の求め方には、先端支持力と摩擦力を加算する方法、載荷試験による方法などが規定されています。

この記事では、地盤状況に応じて、どの検討式を採用して、杭の支持力を求めればよいのか理由を兼ね解説をしています。

▷支持杭の許容支持力(打込み杭、埋込み杭、場所打ちコンクリート杭)の求め方
安定した地盤の場合
一段階目:地盤の支持力を求める
一段階目:地盤の支持力の別の求め方
二段階目:杭の支持力を求める
小さい方を杭の支持力として採用する

不安定な地盤の場合(杭先端の地盤の支持力と杭周囲の地盤の摩擦力を加算)

支持杭の許容支持力( 打込み杭、埋込み杭、場所打ちコンクリート杭)の求め方

杭の耐力は、力の伝達先である地盤が安定している場合と、不安定な場合とで異なります。

では、安定した地盤と不安定な地盤での杭耐力の検討方法の違いについて見ていきます。

安定した地盤の場合

安定した地盤の場合、杭の支持力は次の2段階で検討します。

  • 一段階目は、地盤そのものの耐力を調査します。
  • 二段階目で、杭自体の耐力を調べていきます。
  • 小さい方を杭の支持力として採用する。

二段階をふむ理由は、杭自体は荷重に耐える力を持っていても、地盤そのものが耐えられないということも考えられるためです。

従って、杭自体の耐力と、地盤の耐力を比較し、小さい方が、計画した杭が耐えることが可能な力、つまり支持力となります。

一段階目:地盤の支持力の求め方

一段階目の地盤の支持力は、載荷試験によって得られた極限支持力から決定します。

具体的には、載荷試験により得られた地盤の極限支持力の1/3長期に生じる力に対する支持力、2/3短期に生じる力に対する支持力とします。

これが一段階目の地盤そのものから杭耐力を決定する方法です。

この方法は、地盤そのものが建物から加わる荷重に対して、どれくらいの力まで耐えられるかという点を反映しています。

一段階目:地盤の支持力の別の求め方

一段階目の支持力の求め方には、次のような代替案があります。

それは、載荷試験結果から、杭頭が限界沈下量に達した時の杭頭荷重を支持力とする方法です。

この方法は、長期の支持力を採用する場合に限られます。

特徴は、

  1. 杭頭部の沈下量から支持力を決定すること。
  2. 限界沈下量の設定に関しては、建物全体が安全であることを考慮するという点です。

2の理由は、荷重と沈下量の関係などから支持力を求めているため、一段階目の長期支持力の計算の様に、安全率1/3を乗じていないためです。

その際の注意点は、

  • 限界沈下量の設定に際しては、載荷試験杭は、本設杭と根入れ寸法が異なる点を考慮すること。
  • 余裕(安全)を見過ぎて短期の支持力に近づけ過ぎないこと。

などが挙げられます。

二段階目:杭の支持力

二段階目は、杭自体の耐力を調べていきます。

上記で記載の様に、地盤が許容できる力の限界に達する前に、杭に損傷が生じてしまう場合の検討です。

この場合は、杭の材料の強度等から支持力を求めていきます。

不安定な地盤の場合(杭先端の地盤の支持力と杭周囲の摩擦力を加算)

不安定な地盤の場合は、次の2点を加算して支持力を求めます。

  1. 先端の地盤の支持力
  2. 杭周囲の摩擦力

2の杭周囲の摩擦力は、杭周囲が接する地盤が、砂質地盤の場合と粘土質地盤の場合に分けて検討します。

砂質地盤の検討には、N値の平均値、粘土質地盤の検討には、一軸圧縮強度が関係してきます。

ここまで記載した地盤が安定している場合と不安定な場合の杭支持力の求め方を整理します。

  • 地盤が安定している場合は、地盤自体の支持力、又は杭頭の沈下量である限界沈下量に対応した杭頭荷重から求める。

これは、地盤が安定しているため、地盤自体の耐力に期待していると考えることができます。

  • 地盤が不安定な場合は、杭先端の支持力と、杭周囲の摩擦力に期待して支持力を求めている。

これは、地盤が不安定なため、一つは安定した地盤深くまで打設した杭先端の支持力に期待している。

また上層の軟弱な地盤に対しては、杭の摩擦力に期待していると考えることができます。

参考

構造の基本書であり、監理、法規のポイントを収録した書籍です。
告示平13国交告第1113号第5 基礎ぐいの許容支持力参照。
建築物の構造関係技術基準解説書〈2020年版〉

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