一級建築士

【施工】鉄筋工事の解説

【令和1年-08】

一級建築士の学科施工の過去問解説です。

鉄筋の継手位置として不適当なものはどれかという問題ですが、梁の変形という面もまじえて解説します。

変形を考えると梁・柱の引っ張られている側が分かるようになります。

梁であれば上側若しくは下側なのか、柱であれば、左右のどちら側かといった具合です。

モーメント図は引張側に書きますのでこれによりモーメント図の形も簡略的に想像できるようになります。

問題1

図中のア~エについて、鉄筋工事における柱主筋、大梁主筋等の一般的な継手位置(範囲)として、最も不適当なものは、次のうちのどれか。ただし、鉄筋の継手は、ガス圧接接手とする。

アの解説

問題の図の通りで適当です。

「鉄筋コンクリート造配筋指針」柱筋の継手位置にガス圧接接手の場合の柱筋の継手位置が記載されています。

イ・ウの解説

上端筋は適切ですが、下端筋は梁端からはりの中央へ向かって梁せいDと同じ距離の位置から梁内法長さL0の1/4以内の範囲とします。

従って、ウが不適当です。

「鉄筋コンクリート造配筋指針」梁筋の継手位置にガス圧接接手の場合の梁筋の継手位置が記載されています。

エの解説

問題の図の通りで適切です。

{鉄筋コンクリート造配筋指針 片持梁筋}

片持ち梁を例に、片持ち梁の変形をイメージして答えを解いてみます。

問題エの片持ち梁が荷重を受けると、下図のように変形します。

この時片持ち梁は押し曲げられるように変形しているため、片持ち側の上側は下側に向かって引っ張られていて、逆に梁の下側は圧縮されていることがイメージできます。

ここで鉄筋の継手位置を決めるにあたり、鉄筋の継手はコンクリートに圧縮応力が働くところに設けると決まりがありました。{公共工事標準仕様書}

鉄筋は引張に抵抗しますので、引張力の働いている側に継手を設けないようにするということです。

従って、継手は圧縮応力が働く片持ち梁の下側に設けます。

こうした手順で解くとエは適切です。

以上が変形から、力の働き方を想定して、それによって鉄筋継手位置を求める解き方です。

なお等分布荷重作用時の曲げモーメントの応力図は下図のようになります。

曲げモーメント図は引張側に書きますので、やはり片持ち梁の上側が引張となっていることが確認できます。

 

【公共工事標準仕様書・監理指針】

標準仕様書は、図面を書く時、分からない用語・意味がでてきても答えがのっている手軽で便利な一冊です。

施工に関しては、試験の内容も出題される内容となっていて、文章が中心であるからと敬遠しておくのはもったいない内容となっています。

仕事、勉強の分からない時のため、備えておきたい内容です。


公 共建築工事標準仕様書 建築工事編 平成31年版



 

 

 

建築工事監理指針 令和元年版上巻

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