▷この記事では敷地が建蔽率の異なる2以上の地域にわたる場合の建蔽率の検討の仕方について解説しています。
主な条件を以下のように定めます。
敷地は防火地域(近隣商業地域)と準防火地域(第一種住居地域)にまたがるとする。
都市計画で定められた建蔽率の上限は6/10(近隣商業地域)、5/10(第一種住居地域)とする。
特定行政庁から指定を受ける角地とする。
建築物は耐火建築物として計画する。
敷地が建蔽率の異なる2以上の地域にわたる場合の建蔽率 法53条
敷地が建ぺい率の異なる地域にまたがる場合は、敷地面積の加重平均で求めます。(法53条2項)
緩和条件の適用
計画敷地は、防火地域と準防火地域にまたがる場所に耐火建築物を計画するため、敷地は全て防火地域内にあるとみなされます。(法53条7項)
この点を考慮の上、緩和条件を適用しながら、建ぺい率を算定していきます。
まず緩和条件は、
- 計画敷地の近隣商業地域、第一種住居地域とも建ぺい率の限度が8/10以外で防火地域内にある耐火建築物であること。
- 特定行政庁が指定する角地であること。
いずれにも該当しますので、建ぺい率に2/10が加算されます。(法53条3項)
ここからが建蔽率検討のフォーマット部分です。
敷地面積の加重平均による建蔽率の算定
都市計画で定められた元々の建蔽率に加算分2/10を加え、用途地域ごとの敷地面積の違いに反映される部分、今回であれば敷地短辺側の比16/30と14/30を乗じます。
今回の敷地の建ぺい率の限度は、
( 6/ 10 + 2 / 10 ) × 16 / 30 + ( 5 / 10 + 2 / 10 ) × 14 / 30 = 226 / 300
と計算されます。
フォーマット部分は、分数の計算はせずに共通項を整理していることも特徴です。
以上の結果から、建築面積の限度は、敷地面積1,500㎡ × 226 /300 = 1,130㎡ となります。
計画建物の建築面積を882㎡とすると1,130㎡以下のため、基準法に適合するとなります。
以下に建蔽率が異なる2以上の地域にわたる場合の建蔽率の算定手順を整理しています。
緩和条件をチェックする。
緩和条件が適用された分を、都市計画で定められた建蔽率に加算する。
また敷地面積の加重平均を利用して計画敷地に適用される建蔽率を求める。
計画建物の建築面積と限度建築面積を比較し、整合、不整合を判断する。
【参考書籍】
基本建築関係法令集 〔法令編〕 令和4年版
【参考動画】