この記事では道路斜線制限による建築物の高さ限度の求め方について解説しています。
▷道路斜線制限
▷道路斜線による建築物の高さ限度の求め方
道路斜線の起点となる位置
▷[参考書籍] 前面道路が水路に面する場合の道路斜線の取り方の実例解説〜24h換気、軸組の有効長さ
道路斜線制限
道路斜線は、前面道路の建物とは反対側の境界線から、用途地域に応じた斜線勾配で建物に向かってかかります。
住居系であれば1:1.25、商業系であれば1:1.5と斜線の勾配が定められています。
建物の高さは、その斜線を超えない範囲内で計画することが原則です。
道路斜線による建築物の高さ限度の求め方
建物の限度高さを求めるには、道路斜線の起点となる位置を明確にする必要があります。
起点となる位置が明確になると、そこから住居系であれば1:1.25というように一定の比率で斜線勾配がかかるため、求めたい位置での限度高さを算出することができます。
具体的には、起点となる位置から実際に高さを検討する部分までの水平距離にこの比率を乗じることで、実情に応じた高さ限度を求めることがですます。
道路斜線の起点となる位置
道路斜線の起点となる位置は、前面道路の反対側の境界線とすることが原則です。
但し、基準法では、緩和規定が定められていました。
その一つが道路境界線から後退した建築物です。
道路境界線ぎりぎりまで建つ建物よりも道路から後退した建物の方が高さ上、有利な計画ができるという規定です。
この緩和規定を適用した場合、前面道路の反対側の境界線は、建築物が道路から後退する距離の内、最小の距離に相当する部分だけ更に外側の位置にあるものとすることができます。
つまり、斜線勾配が建物からより離れた位置からかかる分、高さ上、有利な計画とすることができます。
基準法では他にも緩和規定が定められています。
例えば、前面道路が水路に面する場合の緩和規定や、道路斜線勾配自体の緩和という規定では、第一種中高層住居専用地域内で幅員12m以上の前面道路に面する建築物の緩和規定等があります。
いずれにしても、道路斜線制限とその緩和規定があることによって、道路から見て過度に高い建物が立ち並ぶことを防ぎ、地域に応じた住環境を維持することができます。
[参考書籍] 前面道路が水路に面する場合の道路斜線の取り方の実例解説〜24h換気、軸組の有効長さ
前面道路が水路に面する場合も、建物の後退距離に応じて、道路斜線制限は有利に働きます。
リンク先で紹介しているのは2階建店舗併用住宅の法規です。
内容は、
[1]建蔽率、[2]建築物の各部分の高さ[高さの限度・道路高さ制限〜前面道路が水路沿いにある場合〜・北側高さ制限]、[3]1階部分の軸組の構造[軸組の有効長さ]、[4]ホルムアルデヒドに関する有効換気量(24h換気)
です。
要点
法規単体の学習では、建物との関係は見えにくいため、断片的な学習となりがちなことがあります。
仕事で人からある内容を聞いてもそれだけでは断片的な対応しかできないことと共通するものがあります。
建築計画の中で法規の理解を深めたいという希望に沿ったテキストです。
参考