この記事では、建物を雷撃から保護するため、避雷針をJIS A 4201-1992により計画する場合について、避雷針の構成[受雷部、避雷導線、接地極]について解説しています。
避雷針は、高さ20mを超える建築物に設置することが建築基準法で定めらています。
避雷針による保護範囲は建築物だけでなく、屋上に設置するアンテナ、消防用の補給水槽等の金属製機器も含まれています。
避雷針は、受雷部、避雷導線、接地極から構成されます。
1.【受雷部】突針
2.【避雷導線】受雷部~接地極 [引下げ導線]垂直部
3.【接地極】地中に埋設した導体
1.【受雷部】突針
JIS A 4201-1992の避雷針で保護される範囲は、突針から60°の範囲です。
避雷針は、頂部に位置する突針から避雷導線をとり、地中に埋設された接地極へ接続されています。
突針で雷撃を受け、建物に被害を及ぼさないよう電流を地中へ流す仕組みです。
受雷部となりうるのは、突針だけではありません。
パラペット廻り等に設置する棟上導体や、手摺、フェンスも含まれます。
棟上導体は、30m㎡以上の銅、50m㎡以上のアルミニウムの線や管が用いられますが、手摺、フェンス等を棟上導体として利用することもできます。
これらで雷撃を受けた場合も、避雷導線を介して地中へ電流が放流されるよう接続の計画等を行います。
2.【避雷導線】受雷部~接地極 [引下げ導線]垂直部
以下が突針から、接地極へと避雷導線を接続する一例です。
まず、突針を支持する支持管にはSTK鋼管[一般構造用炭素鋼鋼管]を用いるとします。
STK鋼管には、導線接続端子、導線引出端子を介して、避雷導線が接続されます。
避雷導線は床面露出のアルミ導線を用いるとし、導線支持金具、導線取付金物、床用ブロックを介して、屋上に固定されます。
避雷導線は、そのまま屋上、外壁内を伝い、地中部の接地極へ接続されることで、電流を突針から地中へ流す経路を構成することができます。
また、接地極手前付近の地上部外壁付近等には、試験端子が設置されます。
建物完成時にはここで接地極の絶縁抵抗の値の確認が行われます。
なお、避雷導線の内、外壁内を伝う箇所のような垂直部分は、引下げ導線と呼ばれています。
3.【接地極】地中に埋設した導体
接地極は、鋼棒等の棒状のもの [アース棒] や鋼管類、鋼板等の板状のものが利用されます。
接地極へ流れた電流は、地中へ放電されます。
地中への放電が確実に行われるようにするため、接地極は、地下0.5m以下の深さに埋め込むこととされています。
接地極では絶縁抵抗値の規定値が定められています。
例えば、接地極を2か所設置した場合、総合接地抵抗として、10Ω以下とすることと規定されています。
建物完成後、この値は地上部外壁付近等に設置した試験端子で確認することができます。
以上が、雷撃を屋上の突針[ 受雷部 ]で受け、避雷導線を通して地中へ放電されるまでの解説となります。